匠Presentation 〜匠Methodを活用して価値あるプレゼンテーションを〜
このブログでも以前に
個人ブログはじめました 〜情報発信の大切さ - Actier COO(くぅ〜)なブログ
記録に残るか?記憶に残るか? 〜BPStudy #124 で高崎健太郎愛あふれる LT 登板をした際の発表アイデアの練り方 - Actier COO(くぅ〜)なブログ
といった記事で、発表をすることでの学びや気付きの大切さ、発表アイデアの練り方について書きました。
今回は、発表=プレゼンテーションする際に欠かせない【準備】に匠Method という方法論を活用することで、価値あるプレゼンテーションを作りやすいと僕が提唱している匠Presentation についてお話したい*1と思います。
匠Method とは?
匠Method は、匠BusinessPlace の萩本さんが創られた
価値から戦略・業務をデザインする
ことをビジネス企画やプロジェクトデザイン、システムデザインやキャリアデザインと幅広く様々な企画やデザインの領域で適用することができる方法論です。
ステークホルダモデル、価値分析モデル、価値デザインモデル、要求分析ツリーといった様な様々な各モデルを描いていくことで、価値から戦略・業務、そして活動へと繋がっていきます。
匠Method の詳細をキャッチアップされたい方は、以下の書籍を読んで頂くのが今だと一番早道かと思います。
匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜
- 作者: 萩本順三
- 出版社/メーカー: 匠BusinessPlace出版
- 発売日: 2016/12/24
- メディア: Kindle版
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匠Presentation
匠Presentation は、その匠Method の主要となる 4 つのモデルを活用してプレゼンテーションの内容をまとめる術です。そのプレゼンテーションで提供する価値から、プレゼンテーションの内容に繋がる形でまとまるので、価値あるプレゼンテーションが構成されていきます。
いいプレゼンテーションの三要素
ここで匠Presentation について説明していく前に、そもそもいいプレゼンテーションってどういったものかといった所を振り返って(僕の考えを展開して)おきたいと思います。
いいプレゼンテーションを実施するためには、この三要素が必要だと思っています。
- 内容
- テクニック
- 準備
まず、内容が良くないといいプレゼンテーションにならないのは当然のことですね。ただ、内容が良かったとしても、それを伝える・表現するためのテクニックがない状況になってしまうと、やはりそのプレゼンテーションは見ていて面白くないものとなってしまうので片手落ちな感じになってしまいます。
それぞれを良くするために、内容を練り込んだり、テクニックを練習して磨いたりといったことを考えると、準備がそれらを下支えすることになります。
皆様も実際にプレゼンテーションを見ている際に、「このプレゼンは、すごい準備しているなあ」と思うようなプレゼンテーションは大概いいプレゼンテーションだったということを経験されているのではないかと思います。
テクニックについて
プレゼンテーションと言えば、TED*2 をご存知の方が多いかと思います。
TED のプレゼンテーションは、内容もさることながら高度な魅せるテクニックを持っている方がプレゼンテーションを実施されているので見ているだけでも勉強になります。
そんな中、内容が面白い上に、いかに魅せるテクニックが大事かということを実践しているプレゼンテーションがあるので、こちらを御覧ください。
これ、面白いですよね。
これはテクニック だけで乗り切っている様にも思われますが、おそらくこのプレゼンテーションを作り上げるために内容を相当練り込み、準備をされた上で、この完成度になっているものと思われます。*3
でも、やっぱりテクニックも大事だということを裏付けていますよね。
三要素をまとめて学べるオススメ
テクニックだけじゃなく、内容の作り方、準備の進め方含めて学べる僕のオススメ本がこちらです。
- 作者: ガー・レイノルズ,日経ビジネスアソシエ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2011/03/31
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 75回
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有名な本なので、ご存知の方も多いかと思いますが、このガー・レイノルズさんが プレゼンテーションZEN といったプレゼンテーションの方法をまとめられています。その中でも、この本がまずはエッセンスとして捉えたいという方にオススメです。DVD もついているので、実際のプレゼンテーションイメージも見ることができますし。
なので、この本および何冊か出ているプレゼンテーションZEN 関連の本を読んで頂くとプレゼンテーションの三要素をマスターすることができるのではないかと思います。
じゃ、匠Presentation は?
じゃ、プレゼンテーションZEN 読んだら、この記事の匠Presentation 要らないんじゃない?といった疑問を持たれたんじゃないかなと思います。
ひょっとしたらそうなのかもwですが、ここで振り返って考えたいのが、内容(中身)はやはり自分で何を話すか考えないといけないので、コンテンツを決めるのはプレゼンテーションを実施するあなた自身ということになります。
その際に、思考の整理をするためのフレームワークとして、匠Presentation を活用できるようになっていると、整理がついて価値を描いたプレゼンテーションを実施できるようになるのではというのが、この記事の主旨です。
ちょうど位置関係図的な感じで考えると、こんな感じになるのかなと。
匠Presentation のやり方
匠Presentation でやりたいことを俯瞰してまとめたのが、こちらの図です。
匠Method での主要となる 4 つのモデルを活用してまとめることで、プレゼンテーションで伝える【価値】を明確にして、それを実際の内容に繋げていくといった形で整理していきます。
ここからは、実際に僕が匠Presentation を使って内容を決めて実施したプレゼンテーションを元に見ていきたいと思います。
匠塾*4という匠Method を学べる勉強会にて、LT 大会を実施した際のプレゼンテーションです。
実際のプレゼンテーションスライドがこちらなので、あわせて見て頂けると、この後の話が分かりやすいのではないかと思います。
種となるようなアイデア(価値のもと)を探す
まず、プレゼンテーションの価値を考えるにあたって、モヤモヤと色々発散しながら発表内容の種となるようなアイデアを考えます。*5
この種となるようなアイデアを考える際には、匠Method はあまり使いません。フレームワークという型に当てはめずに、まずは発散して考えたいからです。発散して考える際に、僕はマインドマップを使っています。発散させつつ、少しずつ関係性に基づいてまとめたいためです。この作業をやっている時に匠Method のモデルは使ってはいないのですが、匠Method の方法論が身に付いていると思考のフレームワークとして暗黙的に匠Method のモデルにまとめやすい感じで考えていたりします。
この LT の時はマインドマップを書かなかったんですが、30 分ぐらいの発表をした際のマインドマップは、こんな感じです。
こうして発散させていく中で、種となるようなアイデアを見つけ出していきます。その種となるようなアイデアを軸にマインドマップを軽く整理していく感じで、この後、実際に匠Method のモデルを活用しながらまとめていきます。
価値デザインモデルで価値を描く
匠Presentation で特に重要な価値デザインモデルを使用して、まとめを始めていきます。プレゼンテーションを実施する際には、何か発表したいことがある=シーズがあるという状態から始まるかと思います。
匠Method では、シーズとニーズをぶつける中で価値を検証し、価値を描いていくといった方法論になっています。
匠Method で、このシーズから価値をデザインしていくモデルが【価値デザインモデル】というモデルなので、ここからまとめ始めるのが理にかなっています。
プレゼンターのシーズから、聴衆のニーズへの価値を描いていくことになります。
この価値デザインモデルの中で、上記の様に価値として提供するものは何か、その価値を言葉やイメージで感性に訴えかけるものは何か、深層心理に訴えかけるものは何かといった点を先程発散したマインドマップを軸にまとめていきます。そうすることで、プレゼンテーションの中で提供する価値は何なのかといった所が明確になっていきます。
その中で、何を価値として提供するかと共にプレゼンテーションにはストーリー性が大事になってくるので、価値デザインモデルのストーリーの部分が有効に働いてきます。
実際にできあがった価値デザインモデルは、以下のような感じになります。
価値デザインモデルでは、ビジョンとそれを下支えする 3 つのコンセプトは何か、それを言葉やデザインといった表層的なもので表すとどんな内容か、深層的なものである意味やストーリーで表すとどんな内容かといった形で、提供する価値をまとめていきます。
こうしてまとめることで、プレゼンテーションの価値として何を提供するかが見えてくることになります。
価値分析モデルで価値を検証する
シーズとして提供する価値が何かといったことが見えてきた所で、そのシーズは本当に必要とされているかという所が出てきます。匠Method は、それを検証する方法として価値分析モデルというニーズサイドのモデルをまとめていきます。
ニーズ側をまとめることで、先程のシーズ側である価値デザインモデルとぶつけることで、本当に価値がありそうかということを検証することになります。
匠Presentation でも同様に、プレゼンテーションで伝えようとしていることが聴衆のニーズにとって価値があるかどうかといったことを検証することになります。
ステークホルダモデルというものを描いて関係者を洗い出すのですが、匠Presentation では聴衆のカテゴリはそんなに多くなることは無いことが多いので、ステークホルダを価値分析モデルの中で抽出していきます。
その後、それぞれのステークホルダがどの様なニーズ(期待)を持ってプレゼンテーションを聴きにきているかを考え、それぞれどういった価値が生まれてくるから嬉しいといった形で価値を描いていきます。
結果、上記のような各ステークホルダーの価値(嬉しいこと)が洗い出されてくるので、今回のプレゼンテーションで提供しようとする目的を別途洗い出して、その目的と価値がどの様に結びつくか、上記の様に色分けしながら関係性を洗い出していきます。
要求分析ツリーで価値から内容へ
価値デザインモデルと価値分析モデルを描くことで、シーズ側とニーズ側のイメージが固まってくることになります。それらをぶつけて、シーズがニーズを満足させるかといったことを検証したり、ニーズを満たすためにシーズとして何を提供するかといったことを検討していくのが要求分析ツリーという匠Method のモデルになります。
このモデルで、シーズとニーズをぶつけながら価値を検証し、そこから更に価値を提供するためにどの様な活動を実施していくべきかという戦略から戦術、実際の活動へと広げていくのが要求分析ツリーの役割となります。
匠Presentation では、価値を検証した上で、プレゼンテーションの中に何を盛り込んでいくかといった内容に落とし込んでいくといったことになります。
戦略要求と呼ばれる大方針的な所に、価値デザインモデルのビジョンとコンセプトを並べ、そこに価値分析モデルの提供する際の目的を結びつけ、そこから各解決策としての活動や内容を結びつけながら、価値から活動や内容へと落とし込んでいくモデルを描きます。
シーズとして提供しようとしている価値と、ニーズとして求められる価値が合わない時は、このモデルでの繋がりに違和感が出てくるので、シーズとして提供するものを変えるか、そもそもニーズは想定しているものであっているのかといったことを、それぞれ価値デザインモデルと価値分析モデルに立ち返って考えていきます。
そうして、このモデルや立ち返った価値デザインモデルと価値分析モデルがいい感じにできあがった時には、提供する価値が検証された形で、その価値からどの様に活動や内容を実施すればよいかということがまとめられた形になります。
匠Presentation の流れ振り返り
上記の通り、匠Presentation として価値あるプレゼンテーションをどう提供するかということを再度考えると、
価値デザインモデルで価値を描き、
価値分析モデルで価値を検証し、
要求分析ツリーで価値から内容へと繋いでいくといった流れで、プレゼンテーションの内容を固めていくことで、価値あるプレゼンテーションを提供できるということになります。
まとめ
プレゼンテーションをする機会というのは、何も LT で発表するとか登壇するといった機会だけでなく、日々の報告や提案、はたまた告白や小遣いアップなど日常の中でもあるかと思います。
そういった際に、内容とテクニックと準備が揃ったいいプレゼンテーションのための三要素を下支えする考え方として、匠Presentation を活用すると価値から内容へと繋がったプレゼンテーションになるという話でした。
で、そんな僕も今日(2018年6月14日)
というイベントで LT をする予定なので、匠Presentation で LT 内容をまとめて挑みたいと思います。
ご興味を持った方は、上記イベントおよびその後の匠塾に遊びに来て頂けると、匠Method を含めて勉強できるかと思います。
*1:サクッと確認されたい方は、プレゼンテーションの魂 -匠Method で価値あるプレゼン- こちらのプレゼン資料を見て頂くだけでも要点は掴めるかと思います。
*2:ご存知無い方は、TED (カンファレンス) - Wikipedia をご確認ください。TED: Ideas worth spreading などで動画として、いいプレゼンテーションを見て頂くことができます。
*3:このプレゼンテーションを匠Presentation で分析してみたものを僕が発表したプレゼン資料として近日中にアップしようと思っています
*4:僕が塾長を務めていて、執行部メンバーと共に運営している匠Method を広く学べる場です。紹介制のコミュニティで、毎月第 2 木曜日を基本の開催日として実施しています。
*5:この辺りの発表内容をボンヤリ考えている所は、以前に書いた 記録に残るか?記憶に残るか? 〜BPStudy #124 で高崎健太郎愛あふれる LT 登板をした際の発表アイデアの練り方 - Actier COO(くぅ〜)なブログ♪ を参照いただくか、別途アップ予定の匠Presentation を実践した際のスライドを参照いただけると、取っ掛かりとなるアイデアを考える際にどんなことを考えているかを掴んで頂けるかと思います。