この記事は、匠塾 Advent Calendar 2021 の24日目の記事です。
はじめに
この物語は、匠Method という方法論を活用して、2021 年のクリスマスに向けて戦った男の物語である。
匠Method は、匠BusinessPlace の萩本さんが創られた
価値から戦略・業務をデザインする
ことをビジネス企画やプロジェクトデザイン、システムデザインやキャリアデザインと幅広く様々な企画やデザインの領域で適用することができる方法論です。
思考法でもあるため、匠Method の普段使いといった言葉もあるとおり、日常生活の中で活用していくこともできます。
今回は、この匠の普段使いとして、【家庭内プロジェクト】を行った流れを赤裸々に記載することで、匠Method でどの様に考え、どの様にサイクルを回して洗練していったかというビジネスで匠Methodを活用する際にも活きてくる記事になればと思っています。
なぜ、クリスマスプレゼント?
11月11日(木)は、第二木曜日である。
第二木曜日は、匠塾*1 の開催日である。
開催後には、ふりかえりも兼ねて懇親会を実施することが多いのですが、そこで12月の匠塾の内容をどうするかといった話になりました。 例年、12月はイベントとして LT大会(以下、参考)を実施するというのが恒例だったのですが、昨今の世の中情勢から、なかなかやり難い状況になっています。
そんな中、今年はアドベントカレンダーをやってみよう!という話にその場で決まりました。*2
さっそく、その場で作成したカレンダーに日付を設定。とりあえず、24日に設定したまではいいが何を書くかは考えてなかったので、日付的にもクリスマスに絡めれたらいいな〜ぐらいなところから、この記事は始まりました。
匠Methodでクリスマスプレゼント
11月12日(金)
さて、勢いに乗って24日に設定したはいいが何を書くかまったく考えていなかったので、何を記事にしようかということをボンヤリと考え始めました。その際もやはり、匠Method の普段使いです。
プレゼンテーションや記事を考える時にも、もちろん匠Methodを使って考えていくことができます。詳しい進め方については、以前記事にした以下の匠Presentation を読んでいただくとやり方含めて分かるかなと思います。
で、ボンヤリと考えていく中で、頭の中では価値デザインモデルを描いていきます。きっと、他の人がアドベントカレンダーで真面目な話をしてくれるであろうから、ちょっと柔らかい感じの内容にしようといったところから、コンセプト①を導き出していきました。それをどうしたら面白く伝わるかなと考え、コンセプト②が導き出され、外向きのコンセプト*3だけでなく内向きのコンセプト*4も入れようと思い、コンセプト③が出てきました。
価値デザインモデル としては他にも要素(言葉、デザイン、意味、ストーリー)はあるのですが、思考法として使う時はこの辺りまでを頭の中で考え、ささっと価値をデザインすることが多いです。で、本来であれば価値分析モデルをこのあと考えて、価値の検証を行うのですが、この記事に興味を持つ人であれば、まあ楽しんで貰えるだろうと思い、考えることすらもスキップしましたw
11月18日(木)
さて、ブログとしてどんな記事を書こうかということは決まった所から、ボンヤリと頭の中でクリスマスに何しようか検討していきました。 ちょうど、その頃、妻と喧嘩をしていたという状況だったのもあり、何らかご機嫌取りw含めて考えていたところ、クリスマスプレゼントを送るのがいいんじゃないかと思いました。 昔は夫婦でプレゼントしあっていたりもしたのですが、結婚してかなり経つと、そういった風習もあんまりなくなっていたというのもあって。
で、何となくイメージされてきたので初期のモデルを考えてみます。*5
まずは、どういったことをしていくかといったシーズを考える価値デザインモデルを検討します。
ビジョンとしては、プレゼントを送ることによって夫婦円満になることを掲げました。 最近、コロナ禍の影響で家の中に籠っていることが多く、代わり映えのしない日々が続いています。なので、何かいつもと違うことができたらいいなというのがコンセプト①。 コンセプト②は、そりゃ欲しいものをあげるのがいいだろうということで、コンセプト③は、コンセプト①にちょっと近いところもありますが、サプライズでビックリさせると僕も楽しいといったところで上がってきました。 *6
シーズとなる価値デザインモデルができたところで、今度はニーズを検証するために、価値分析モデルを書いていきます。 匠Method は、シーズとニーズがぶつかり合わさったところに価値が生まれるといった考え方です。
価値分析モデルには、価値記述として、
「(どの様な背景の中で、)どの様な仕組みにより、どう嬉しいか」
といったフォーマットで書いていきます。*7
まあ、夫婦間で特別な日にプレゼントをするということは価値があるに決まっているので、「〇〇をもらえて嬉しい」という中での仕組みの部分*8をどうするかがポイント*9になってきます。この仕組みが無いと、後々、要求分析ツリーを書いていく際*10にも、どのような手段で実現していくかといったところが見えてこないこともあり、全体的なモデルとしても重要な部分となります。
今回、この仕組みの部分の候補として、
- どこかに連れていくのがいいかな
- お気に入りの食べ物とかがいいかな
- 何か最近欲しいものないかな
- 日々の家事とか大変だから1日全部やってあげたりするのがいいかな
あたりをボンヤリと候補にならないかなと考えていました。
11月20日(土)
この日は、妻と横浜におでかけ。 時間を潰す必要があったので、久しぶりにウィンドウショッピングをすることに。
これは、仕組みの部分について何か欲しいものは無いかヒアリングするチャンスです。
ということで、ふらふらとウィンドウショッピングしている中で、これ良さそうじゃない?とか美味しそうじゃない?とか色々と聞いてみました。 この辺の意図を持ってヒアリングする様な能力は、要件定義などの仕事の中で磨かれた能力だし、こういった普段使いでも共通した能力になってきます。
で、ヒアリングをしていて改めて気づいたのですが、うちの妻は、物欲がほとんどなかった。。。 プレゼントを考える上では、非常に難易度が上がります。
靴が欲しいといった話が出てきましたが、靴は履いたときの感じやサイズのフィット感などサプライズプレゼントには向きません。
さらにウィンドウショッピングを続けていくと、子供達や僕が喜びそうな物ばかりを見に行っていることに気がつきました。 うちの妻は、他者が喜んでくれるのが嬉しいんだなということに改めて気づかされます。
そのヒアリングとウィンドウショッピングの状況を踏まえて、価値デザインモデルと、価値分析モデルを見直ししていきます。 この辺り、普段使いじゃないビジネスで使う時でも同じ様なことをして価値を洗練化していくになります。
見直した価値デザインモデルは、下線を引いたあたりを変更しており、ビジョンが夫婦だけでなく家庭に広がり、それに伴ってコンセプトも本人が喜ぶだけでなく家族が喜ぶことを狙っていくこととしました。
価値分析モデルの方には、ステークホルダーとして娘たちを追加。 娘たちの価値記述も、「○○で妻と一緒に楽しめて嬉しい」といったものを見い出しました。
となると、あとは〇〇の部分に当てはまる何か物なのか、食べ物なのか、体験なのかを考えないとなーといった感じでした。
11月27日(土)
妻と娘たちと近くのイオンで買い物に出かけました。 イオンの中に整骨院があったりと、ちょいちょい利用するところです。
娘が本屋に行きたいというので、本屋に来ていたのですが、パズルコーナーがありました。 本屋でパズル売っているんだーと物珍しさから見ていたのですが、妻がふと
「子供の頃、パズル好きだったんだ」
という話をし始めました。 そういえば昔聞いたことあったけど、家にパズルはないのであんまり意識したことがありませんでした。
色々なパズルがあったので、娘たちもパズルの絵柄を色々と見ながら楽しんでいます。
これだ!
最後のピースがハマった気がしました。 仕組みの部分に「パズル」を当てはめることで、子供の頃を懐かしみながら楽しめるプレゼントになる。 娘たちも一緒に作っていくことで、家族みんなで楽しめる。
冬休みを活用して、非日常的な共同作業をみんなで楽しみながらできるなと。
そして、できたモデルが以下です。
12月11日(土)
あとは、どうこっそり買うか。 気付いた日には買えないので、機会を伺っていたのですが、この日に一人でイオンの中にある整骨院に行ったのでチャンス到来。
サプライズに向けて購入しようとしたんですが、フレームがでかい。。。 これは買えない・・・ということで、パズルだけを購入。フレームは25日の朝着で Amazon で購入することとしました。
12月24日(金)というまとめ
ここまでで、匠Method をどう普段使いするかということを追体験いただけたのではないかと思います。
匠Method を思考法として活用することで、価値デザインモデルと、価値分析モデルを活用することでフレームワークの様に当てはめながら、価値を求めて思考整理していくことができます。 今回は、プレゼントを考えるぐらいのあまり大きな話ではなかったので、価値デザインモデルと、価値分析モデルだけを活用していますが、もっと大きな話で目的と手段を連鎖させて複数の手段によって実現するようなことを考えるときは、このあと要求分析ツリーも考えていくと、より精緻な思考を深めていくこともできます。 その辺りも含めて興味を持った人は、ぜひ匠Method を一緒に学んでみましょう!
普段使いで匠Method を使いこなせる様になると、ビジネスで使っていく際にもこなれた技として活用していける様になります。
おまけ
さて、このあと、本日の夜にサプライズプレゼントしますが匠Method のモデルで描いた価値は正しかったのかどうか??
価値があると妻や娘たちに感じてもらって、喜んでもらえることを、皆さんも祈っておいてもらえればと思います!
*1: 匠塾は、匠Method を学べる勉強会。紹介制の勉強会ですが、この記事を読んで参加してみたいと思われた方は「塾長の記事を読んで」って参加希望出してみてください
*2:紆余曲折あったが、 ユニクロを匠Methodでリバースエンジニアリング - ゆるゆるメモ の作者からいいアイデアとして出た。そこに至るまで、やはり匠Methodでモデリングして企画を考えたり等々と色々としていた
*3:周りの人が価値を感じるコンセプト
*4:自分やプロジェクトであればプロジェクトチームなど内部の人が価値を感じるコンセプト
*5:詳しい匠Methodのモデリング方法を知りたい方は、本や他の人のブログを読んでいただくか、匠塾へ遊びにきていただければと。僕もそのうち記事書こうかしらとは思っています
*6:例によって、言葉や意味、デザイン、ストーリーなどは、自分の思考レベルでやるときは何となく思い浮かんでいること、他者に明確に伝えなくてもいいことからスキップしています
*7:あと、目的を書いて紐付けといった辺りの話もありますが、詳細は匠Methodの書き方を見てください
*8:「〇〇をもらえて」の部分
*9:場合によっては、背景の部分もしっかり考えます
*10:今回の思考レベルの匠Methodでは書いていませんが